初めての体験でなんだか貴重な体験だったので記録しておこうと思う。
カットの練習後切ったマネキンを捨てるため外に出て職場の裏のゴミ捨て場でごみ袋を
かがんでまとめていた。そして立ち上がった時、給湯器に頭をぶつけた。シンプルなよくあるドジ。
だったのだが、切り傷が入ってしまい頭から血が出てしまった。別に症状は普段ドジでぶつけた時と
変わらないのだが、やはり頭の血ともなると万が一のこともある。
先輩スタッフに止血や病院などの連絡をしてもらい、
病院にいくことになった。この時点で21時くらい。
とらえ方によっては悲惨な出来事ととらえる人もいるだろう。
けど日常にはない出来事を体験できた。夜の病院というものにそもそも初めていった。夜の緊急の場合は正面の出口とは別の入り口から入る。この時点でなんだか非現実。
インターホンを押し「先ほど電話した松本でs・・・」くらいで食い気味に「お名前教えてもらえますか?(圧)」と返ってきた。「いや言ってる途中なんだけど」と少しイラっとしながらも
「電話した松本陸と申します」と伝えた。「わかりました、そのまま、まっすぐ進んでください」と伝えられたが、「まっすぐ」のフレーズを強調してゆっくり目に伝えてきた。
よく間違える人がいるのかなと思いまっすぐ進もうとしたが、なんとまっすぐ進んだすぐ目の前に
「関係者以外立ち入り禁止」「ドアを開けないでください」と書かれていた。
なんだこの大いなる矛盾。さっきのババアはまっすぐと言っていたのにどっちなんだ。
苛立ちからか心の中の口調も荒くなってきた。
結局答えはまっすぐでなく、立ち入り禁止区域の右側だった。
右側から先ほどインターホンに出てくれたであろう40代くらいの女性が「こっちっこっち!」みたいな身振りをしていた。
おれがこんな入り口なんかで戸惑ってどうしようもない
患者みたいな扱いをするのはやめてほしい。おれがあなたの言葉を真摯に聞いたからこうなってるし
あなたに原因があるんですよ?と、ひろゆきばりに詰めたいところだったが
そんなことをしている場合じゃない。俺はこの女性を論破しに病院に来たわけじゃない。
頭のケガを見てもらいにきたんだ。
受付を済ませると、いわゆる病院の待合室ってな感じの場所で1時間ほど待った。
いつもと違うのは暗くてなんだかさみしい雰囲気。昼頃しか病院に入ったことない。
近くで娘さんと二人で診察を待つ車いすのおばあちゃん、途中で体調が悪くなり
ゴリゴリに吐いていた。少し離れたところには一生泣き止まない子供。体の調子が悪いからか、苦しそうな泣き声。あかりも暗く静かな待合室?で嘔吐や喚き。
あそこに一時間近くいたらさすがにネガティブな気持ちになりそうだった。
看護師さんの仕事は改めてすごいなと思った。
世の中二種類の仕事があると思っていて人のポジティブに携わるか、ネガティブに携わるか。
美容師は前者の仕事だと思う。そりゃ明るく楽しい方をみんなしたいはずだ。だけどそれだけじゃ人間は生きていけない。病院が無ければ、みんな不健康になり美容院どころじゃない。
夜間に病院にいったので1万ちょっと取られた。取られたって言い方はよくないか。でもそれだけ、生死に関わる仕事をしてる人たちなんだ、誰でも出来る仕事じゃない。お医者さんがたくさんお金をもらえる理由がなんとなくわかった。
生きてく上で避けて通れないような、・犯罪者を捕まえる、・火事を鎮火する・自殺の後処理・葬儀、・汚物処理、まあ俺が思いつくのはこんくらいだけどそんな仕事をされてる方には本当に頭が上がらない。とてもじゃないけど、向き合うのが嫌なことばっかりだ。だけど絶対必要なこと。
だから仕事になるし、そしてそういった仕事をしてくれる人がいるからこそ前向きになれる。
美容は正直どこまでいっても娯楽だと思う。そりゃめちゃくちゃ大事だし、髪の毛を一気に丸刈りにされた日には泣きたくなると思う。けど死にはしない。ゲーム、遊園地、YouTuber、お笑い芸人、アーティスト、デザイナー、いわゆるエンターテイメント、エンターテイナーと美容は近いジャンルなんじゃないかな。
そんな考えなのに美容師務まるの?って思われるかもしれんが勤まる。だって娯楽ってとても大事。
人間は退屈を嫌う生き物。本で読んだんだけどある実験によると人は何もない部屋でスイッチを押すと電気が流れるイスに座っていると、退屈すぎてめちゃくちゃ痛いのにそのスイッチを押してしまうらしい。人間は痛みより退屈の方が辛いらしい。
信じられないけど、確かに自分も押してしまいそうだ。そういう意味ではやはり娯楽も生きてく上で欠かせない、ある意味人の心の病を治してくれている。
僕もアシスタントの時、カットの練習が上手くいかず落ち込んだ帰り道によく芸人ラジオを聞いて笑って励まされた経験がよくあった。だからどっちが大事とかすごいとかじゃなくどちらもすごい仕事なんだけど、病院は基本、体の具合が悪い人しか来ない。体が良くないということは気分も落ち込んでいる人の方が多いだろう。つまり前向きなポジティブな気持ちでいっているわけじゃない。ここが美容院と大きく違う。事実、昨日いった病院もそんな空気だった。
けど技術で、知識で、コミニケーションで患者さんを救って、
落ち込んでいた気分を明るくさせる。そんな仕事はリスペクトしかないしかっこいいなぁと思った。
コメント