
2023年ドラフト2位の津田啓史選手が10月27日来季の構想外になっていることが明かされました。育成契約の打診はしているそうですが、今年二年目のドラフト2位の選手がこの時期に戦力外になることは極めてまれなケースです。どうしてこのようなことになったのでしょうか。
①当時ドラゴンズは立浪監督だった
2023年チームは最下位に落ち込み、当時立浪監督が指揮を執っていました。立浪監督は就任当初からセンターラインの重要性を語っており(https://www.chunichi.co.jp/article/356691)
立浪監督就任時、コメント「野球は投手が試合の8割を占めていると思っている。まずはセンターラインを固めて、守り勝つだけではないけど、そういう野球をしたい」と語った。
この発言の通り実際に2022年ドラフトで村松開人、田中幹也、福永裕基(当時セカンド)、濱将之介(当時ショート)、樋口正修となんと、二遊間の選手だけで5人も獲得しました。しかし二遊間定着とはならず、福永選手は打撃を活かしサードに転向、濱選手は肩を活かし外野手転向、2022年ドラフトで二遊間レギュラーとして定着する選手はいませんでした。
そして迎えた2023年ドラフト。まさかのドラゴンズは2位3位で津田選手、辻本選手の二遊間選手を再び獲得します。
当時のドラフト後のコメントは
―2位は遊撃手の三菱重工East・津田啓史内野手
「社会人3年目の21歳。脚力も肩もある。バンテリンDは広いので(武器になる)。今季は二遊間の守備に苦しみましたが、即戦力と聞いている。昨年に続いて二遊間の選手を多く獲りましたが、競争していってほしい」
―3位も遊撃手の仙台大の辻本倫太郎内野手
「脚力がありますし、小柄ですがパンチ力もある。同じポジションですが競争してほしい」
―内野手は昨年、村松、浜、田中の3選手を指名。レギュラーを確保できるような選手が出てこなかったことも理由か
「それはあります。センターラインを固定したいというのがあります。どこ(の球団)も二遊間は不足していますし、いい選手がいる時に獲っておかないと」
「1位で(度会隆輝外野手の)くじを外してからの選択肢が難しかった。その後は獲りたい選手の交渉権を全て獲れたので、それは良かったです」
中日ドラゴンズは谷繁監督などの時はドラフトにはあまり関わらせてもらえなかったと発言していますが近年は監督の意向が反映される傾向があります。断言はできませんが上記のコメントから、そして2年連続の極端な二遊間の上位指名ドラフトから立浪監督の取りたい選手を獲得していた可能性が高いかなと思います。
そこから本来2位でなくても取れる可能性もあったが、最優先で確保したため生まれた歪みの可能性があります。(当時阪神が獲得するという報道もありました→https://www.daily.co.jp/tigers/2023/10/26/0016957499.shtml)
結論2023年ドラフトは二遊間を固めたい立浪監督の強い意志によって生まれた歪みのドラフトだったのではという仮説です。
もちろんこれらは辻本選手も津田選手も選手に一切非はなく、あくまでも球団側からの話です。
②二遊間選手の年齢
ざっと現在のドラゴンズの二遊間選手を上げました。
| 選手名 | 生年月日 | 年齢 |
|---|---|---|
| 村松 開人 | 2001年1月6日 | 24歳 |
| クリスチャン・ロドリゲス | 2002年3月31日 | 23歳 |
| 田中 幹也 | 2000年11月28日 | 24歳 |
| 土田 龍空 | 2002年12月30日 | 22歳 |
| 樋口 正修 | 1998年11月17日 | 26歳 |
| 辻本 倫太郎 | 2001年8月11日 | 24歳 |
| 中村 奈一輝 | 2006年8月16日 | 19歳 |
| 川上 理偉 | 2001年3月10日 | 24歳 |
| 津田啓史 | 2002年11月23日 | 22歳 |
| 山本泰寛 | 1993年10月10日 | 32歳 |
中村選手が19歳、山本選手が32歳を除けば22~24歳ばかり。樋口選手は26歳ですが、代走と内外野守れるユーティリティとして起用されているので現段階ではスタメンに積極的起用する方針ではなさそうです。
何が言いたいかと言えば、ドラフトで偏って取ってしまったので同じ年齢層で二遊間大渋滞が起きています。なので必然的に争いが厳しくなり、今回のような育成降格ということにならざるを得なくなってしまったのではないでしょうか。
③2軍育成方針改革
今年から2軍監督を務める落合英二監督が育成方針を変えたことを明らかにしています。詳しくはこちらの動画をご覧いただきたいのですが、
ざっくり言えばドラゴンズの2軍の中でクラス分けをする明確な定義を作りましたよー!ということ。
A班、B班、C班を作ってAはレギュラー候補、Bはその下、Cはまだ心技体を育成する段階の選手。
つまり2軍でスタメンで出ている若手はA班、Cはトレーニング中なので戦力外候補はB班の中だとの事。このクラス分けはコーチや監督で話し合い、1か月に一回行うそうでAだからと言ってうかうかもしてられないみたいですね。
よって以前よりも、ドラフト順位や出身校など過去の実績よりも今の実力をフラットにみられるシステムになった。=指名されたばかりでも、2軍の中での争いに負ければ早期で戦力外などの今までには見られなかった動きが出てくる。
より育成出身などや下位指名の選手にはチャンスが平等に与えられやすく改革したのかもしれません。そこで津田選手は残念ながら現在の一軍戦力としては難しいという判断をされた可能性があります。
終わりに
社会人卒とは言え、高卒社会人選手ですのでまだ23歳の年。これからの伸びも期待できる選手ですがチーム事情から早々に育成降格となってしまいました。度会選手と高校の同級生という事もあり一軍で二人が出ているところを早く観たいと思っておりますし、これを機に「中日ふざけんなよ!」と奮起してまた支配下を勝ち取って欲しいです。
本人のコメントではまだ育成契約をして現役を続けるか迷っているとの事でしたが、最後はどうなってしまうのでしょうか。悲しいニュースではありますが教育システムの話などを聞いていると、ドラゴンズはいい方向に向かっていっているのではないでしょうか。

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